
くるみの木のオーナー、石村由起子さんの新刊、「私は夢中で夢をみた」を読みました。
くるみの木というカフェや秋篠の森のことはもちろん知っていましたが、
石村さんがどうやってくるみの木を立ち上げたのか、というお話はあまり詳しく知りませんでした。
それが、この本を読んで、石村さんの御苦労やさまざまな経験、そこから学んだことなどを読み、感動が止まりませんでした。
東京にさえカフェや雑貨店が少なかった25年前の1984年、奈良のはずれにくるみの木は生まれます。
当時、石村さんは子供を産もうと考えて会社を辞め、専業主婦。
たまたまある物件に出合い、子どもの時お母さんとの交換日記に書いた夢のことを思い出します。
"大人になったら、おじいちゃんもおばあちゃんも、
子どもたちもみんなが来るような、自分のお店を持ちたいです。
その名は「くるみの木」"
そして、「自分のお店を持つんだ」そう決心するのです。
はじめは全部手探りで、一人ではじめたお店。もちろん家族や親戚も大反対でした。
1985年に男女雇用機会均等法ができましたが、当時はまだまだ「女性は仕事よりも家庭を守り、子どもを産み育てて」という風潮。
女性が一人で自分のお店を持つなんてとても珍しいことだったのです。
お店をはじめて数日は友人や知り合いなど、お客さんが結構来てくれますが、そのしばらく後、ぱったりとお客さんが来なくなります。
そして、そこからが本当の長い苦労の道だったのです。
「今日はお客さん来なかった・・・」
なんとも言えない気持ち、夫のボーナスを借りてアルバイト代を支払い、
「自分はいったいどこへ向かって走っているのだろう。」
「いっそ、もうこのまま辞めてしまおうか。」
そう思う日もあったそうです。
それでも、
「まず3年は辛抱しよう。」
そう心に決めます。その後、地元の新聞やタウン誌の取材も時々受けるようになり、お客さんが少しずつ増えていきます。
くるみの木をはじめてちょうど3年が過ぎたころ、ようやく光が見えたとおっしゃっています。
一生懸命がんばれば、神様が見ていてくれる、夢は叶う、心からそう思えたと。
お話はまだまだ続きますが、私もSUCRE CUITのお店を始めてちょうど3年が過ぎ、
自分のことと照らし合わせて読ませていただきました。
お店を始めてから、たくさん失敗もしました。
でも最初に光が見えたのは、出版社さんから本のご依頼をいただいた時。
これまでの人生で、最高にうれしい瞬間でした。
そして今、ある企業から素晴らしいお仕事をいただけるかもしれないというお話をいただき、またひとつ、光が見えてきそうです。
私も、一生懸命がんばれば神様は見ていてくれると信じています。
そして将来、何年先、何十年先になるかはわかりませんが、夢に向かってがんばろうとしている人たち、
そして結婚・出産・子育てと仕事との間で悩んでいる女性たちが、
一歩前に踏み出すきっかけになるような本を出版できたらいいな、と思っています。