梅雨の雨が引き続き京都の町を濡らす7月。
7月の心配事は、祇園祭の一番盛り上がる宵山の日に、今年も雨が降りやしないかということ。
「コンチキチン」
という音色が町にやさしく響き渡り、私の耳にもやさしく響くと「あぁ、今年も祇園祭の季節がきたなぁ」と思います。
この音色は、「夏がきましたよ」というお知らせ。
子供の頃、同じ小学校の男の子が、祇園祭で鉾の上に乗るとなると、その子だけ本番の練習のため、
皆より早く学校から帰らされていました。それだけ地元と密接に結びついている祇園祭。
祇園祭といえば、7月15日の宵々山から17日の山鉾巡行にかけてが大きく取り上げられますが、
実は7月1日の吉符入という行事から始まり、7月31日の夏越祓をもって終わる、一カ月間に及ぶ行事なのです。
平安時代に、都を中心に流行した疫病を退散するために行った神事が祇園祭の始まりで、
当初は疫病の流行の時だけ行われるという不定期なものでしたが、960年より毎年行われるようになったそうです。
7月10日の神輿洗式では、松明の大きな炎が空に上がり、その松明に先導されて
「ホイット ホイット」という勇ましいかけ声で、神輿が八坂神社から四条大橋まで運ばれます。
そこで、神職が神輿に神水を浸したさかきを振りかけて清めます。
こうして、鴨川の水の神様を守り神として神輿に迎えるのです。
この水にかかることで、無病息災になるとも言われています。
祇園祭でいただいた粽は、「蘇民将来」と書かれた護符とともに家の玄関に飾りつけます。
祇園祭の時期にお願い事が叶う無言詣というものもあります。
17日から24日の間、四条寺町の神輿が安置された御旅所に毎日お参りして、
家に帰るまで誰とも口をきかずにいれば、願い事が叶うと言われています。