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前回の記事にも少し書きましたが、イギリスでは生まれたばかりの赤ちゃんを裸のままお母さんの胸の上に乗せる「カンガルーケア」を行っている病院が多いようです。
私もバースプランにそのように書いておきましたので、出産後は助産師さんが赤ちゃんの体をさっと拭いて、そのままどかんと裸の赤ちゃんを胸の上に置いて下さいました。こうして肌と肌が触れ合い親子のスキンシップを図るのですが、私は出産後胎盤が自動的に剥がれ落ちずに、胎盤を子宮内に残したままずっと手術室が空くのを待っている状態が続いており、出産が全部終わったとは言えない状況でした。それでも助産師さんたちに「Breastfeed him」とすぐに赤ちゃんに母乳をあげるように指示されました。母乳育児については産前学級で少し予習をしていたつもりでしたが、長時間の陣痛に耐えた後の出産を終えたばかりの体で、しかも胎盤が出てこないという緊張感の中いきなり赤ちゃんに母乳をあげるように言われ、正直なところ戸惑いました。
当然上手く母乳をあげることができないまま赤ちゃんを一旦旦那に預け、私だけ手術室に移動し例の手動で胎盤を取り除く処置を行いました。処置後、体中に色々な管を付けられた状態で三人部屋に移されました。ベッドから起き上がるのも困難な状態でしたが、イギリスでは「赤ちゃんはお母さんが育てるもの」として生まれたばかりの赤ちゃんは病院が一旦預かることなく、そのまま入院中のお母さんと同室のベビーベッドで寝かされます。カーテンで仕切られた隣のベッドには帝王切開を終えたばかりのお母さんがいらっしゃいました。帝王切開や難産などは関係なし。とにかく赤ちゃんはお母さんのもとへ一晩中預けられ、そこで母乳をあげるよう指導されます。
私は手術室で大量出血をし、薬で鉄分を補わなければならないほどの貧血の上、まだ不慣れで母乳のあげ方も悪く、母乳がなかなか出てくれませんでした。このままだと赤ちゃんがおなかをすかしてしまうからとミルクの供給をお願いしましたが、「出るまであげなさい」の一点張り。とにかくスパルタの母乳育児指導が始まっていました。
こうして出産当日は赤ちゃんが生まれてきてくれた余韻に浸る暇もなく、夜泣きと孤独との闘い、すぐに24時間の子育てが待っていました。妊娠中は子供が生まれた後のことなど考える余裕がなく、出産がゴールとしか思えていなかったのだとこの時気付き反省しました。そんなスパルタの母乳育児でしたが、入院中は助産師さんが丁寧に母乳育児を手伝って下さり、母乳をあげるこつも丁寧に教えて下さいました。病院には母乳育児専門の指導員の方もいらっしゃり、各病室をまわって丁寧に指導されていました。退院後には、イギリスでは助産師さんが各家庭に出向き、お母さんと赤ちゃんの状態をチェックして下さいますが、そこでもまた助産師さんに母乳育児の指導を受けることになりました。
こうしたイギリスの徹底した母乳育児指導の中、私の子育ては始まったのです。