
お昼をまわり、ようやく雨がおさまったので村の中心部へ連れて行ってもらった。
中心部と言っても、小さなメインストリートの両側にお店が並ぶ程度。
買い物を済ませればもうすることがなくなってしまう。
コッツウォルズを思わせるようなアーモンド色の建物の奥に行くと、花が咲く広場に着いた。
小さな池の周りで遊ぶ子供たちの真っ赤なセーターがまわりの緑色の中で引き立っていた。
今度はウェールズの南に位置する海岸へ。
海岸近くのカフェでカフェオレとカスタードケーキを食べ、体力をつけた後は海岸に沿う丘の上を登って行った。
左にはどこまでも続く草原、そして右手には力強く波打つ海。
どこまでも続く大自然に囲まれて、これから何かが起こりそうな期待に騒ぐ気持ちを抑えて道の続く限り
ただ前へと歩いて行った。


前方では一匹の犬がうれしそうに駆け足で走り回っていた。
この大自然の中では、この犬も何かが起こりそうな期待に胸をおどらせているのだろうか。
夕方になるとだんだん周りが暗くなっていった。
人工的な明かりの少ないイギリスの田舎町では暗くなるのがとても早く感じる。
おとぎの国に迷い込んだようなウェールズでの生活はもう終わりに近づいていた。
明日からはまた賑やかなロンドンでの生活に戻ることだろう。
「またいつでもウェールズにおいで。」マンギーのこの言葉が心に響いた。
私には戻っても良い場所がある。
イギリスでの田舎暮らしは私の心を想像以上に癒してくれた。
海岸から家に戻る途中、1日目に出合った白い馬の姿が見えた。
私は今の気持ちを忘れないようにずっと外の景色から目を離さないようにした。
