本を出させてもらうと決まった時から、何かを「伝える」ということへの興味が日に日に増していくようになりました。
本もメディアの一種であり、著者である私も、一応「伝える」側の人間として、日々考えさせられることが多いからです。
先日、新聞記者をされていた方から「メディアの社会的責任」というテーマのお話を聞く機会がありました。
その中で、「伝わるように伝える」という言葉に大きな重みを感じ、非常に共感しました。
伝えたつもりでは、伝えたことにはならず、伝わるように工夫しなければならないということです。
小説
「少年H」の著者である、舞台美術家の妹尾河童さんは、今後も戦争の危険はあるのだということを
戦争を全く知らない今の子どもたちに伝えるため、すべて子どもの目の高さで具体的に書き、
漢字にルビをつけるなど、あらゆる工夫をされました。
『フランスのアンティーク ファブリック』は、小説やエッセイなどに比べると文章は本当に少ないかもしれません。
しかも限られた文字数の中で、伝えられることは本当に限られています。
この本の中では、もちろんデザイン性を含めたアンティークファブリックの魅力をお伝えしたかったのですが、
もうひとつ、読者の皆様に伝えたかったことは、新しいものが作られては捨てられていくという今の時代の中で、
古き良きものを大切にするという習慣です。
「伝わるように伝える」ことを実践できたかはわかりませんが、
一人でも多くの人がその大切さに気づいていただければうれしいです。
「伝える」という意味では、今こうして書いているブログも同じかもしれません。
「伝わるように伝える」、私も自分が伝えたいことを、伝わるように工夫することを忘れないようにしていきたいです。